バイオシミラーとは

バイオ医薬品とは

バイオ医薬品とは、「遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造されたタンパク質性医薬品」です。

下の図は、代表的なバイオ医薬品であるモノクローナル抗体の分子模型です。化学合成医薬品(多くの分子量が500以下)にくらべて非常に高分子(分子量は数千~15万程度)であり、複雑な要素から構成されています。

現在、よく使用されているバイオ医薬品には遺伝子組み換え技術によるインスリン、サイトカイン(インターフェロン、エリスロポエチン、G-CSF等)、抗体製剤等があり、さまざまな疾患の治療において重要な役割を担っています。

バイオシミラーとは

バイオシミラー(バイオ後続品)とは、特許期間が満了したバイオ医薬品の後続品のことで、先行バイオ医薬品の開発メーカーとは異なるメーカーにより製造される医薬品のことをいいます。バイオ医薬品は分子量が大きく、構造が不均一で複雑なため、有効成分の同一性を実証することが困難です。そこで同等性/同質性という概念が導入されました。

バイオシミラーと先行バイオ医薬品の同等性/同質性の評価法は各国で定められています。本邦では、2009年に通知された「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」(以下、バイオシミラーの指針)等の指針・通知が厚生労働省医薬食品局から発信されています。これに従ってバイオシミラーの製造販売承認申請が進められます。

バイオシミラーとは…

  • 既に国内で新薬として承認され、特許期間が満了した先行バイオ医薬品の後続品である
  • 先行バイオ医薬品とは異なる製造販売業者が開発する
  • 先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・安全性・有効性を有する

バイオシミラーの開発について

細胞培養技術などを用いて製造されるバイオ医薬品は、分子量が大きく構造が複雑で、分子多様性や不均一性が存在するという特徴があります。バイオシミラーと先行バイオ医薬品の同一性を示すことは極めて困難なため、同等性/同質性を示すことが必要となります。

同等性/同質性の評価は、バイオシミラーの承認申請に示すように①品質特性における評価、②非臨床試験による評価、③臨床試験による評価、の順序で行われます。通常、品質特性や非臨床試験の結果のみでバイオシミラーと先行バイオ医薬品との同等性/同質性を検証することは難しく、最終的に臨床試験での確認が必要になることがあります。その場合、バイオシミラーの開発には新薬とほぼ同様の試験を行うこととなり、申請にあたってはそれらすべてのデータが要求されることになります。バイオシミラーの開発には新薬とほぼ同様の試験を行う必要があり、申請にあたってはそれらすべてのデータが要求されるので、高い品質が確保されるものと考えられます。

バイオシミラーの名称について

バイオシミラーについては世界的にさまざまな呼称が用いられており、欧米ではバイオシミラーが正式名称となっています。わが国の規制上の名称はバイオ後続品ですが、バイオシミラーという呼び方が一般に広まっています。

バイオ後続品と海外のバイオシミラーは同等/同質という共通のコンセプトに基づいていますが、開発要件や承認基準等に多少の相違があり、イコールではないことに留意する必要があります。

バイオシミラーへの期待

今後、ますますバイオシミラーの開発が進むと予想されます。

これにより国民医療費が軽減されるとともに、患者さんの経済的負担が軽減されることが期待されています。

2024年7月更新

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