バイオシミラーの開発の流れ

バイオシミラーの承認申請

バイオシミラーは、品質試験、非臨床試験、臨床試験で評価されます。図1は、わが国におけるバイオシミラーの承認申請にあたって必要なデータの概念を示したものです。

先行バイオ医薬品のデータは、すべてが公開されてはいないため、バイオシミラーの開発メーカーは新薬同様に独自に恒常性と頑健性のある製法を確立する必要があります(①製法)

また、バイオシミラーは、先行バイオ医薬品のメーカーとは異なるメーカーにより、異なる宿主・ベクター、セルバンク、培養・精製工程、製剤化工程を経て製造されるので、新薬と同様に、品質特性の解析データ[ 構造・組成、物理的化学的性質、生物活性、免疫化学的性質、不純物(目的物質由来不純物、宿主細胞や培養液等に由来する製造工程由来不純物、ウイルス等混入汚染物質等)]を取得し、これらのデータを提出することが求められます(②特性解析・品質)(図1)。

バイオ医薬品の構成成分を図2に示します。先行バイオ医薬品との品質特性の高い類似性を示す必要がありますが、このとき不純物や混入汚染物質も同等性/同質性評価の対象となります(図2)。

さらに合理的かつ必要と考えられる③非臨床試験(薬理作用の比較試験、毒性試験)、④臨床試験を実施し、これらの試験を総合して先行バイオ医薬品との同等性/同質性を示すことで、はじめてバイオシミラーの開発が可能になります。このため、バイオシミラーの承認申請においては新薬に準じる資料の提出が必要になります。

バイオシミラーの臨床試験

バイオシミラーでは、一般に、品質特性と非臨床試験の結果のみで先行バイオ医薬品との同等性/同質性を検証することは困難で、基本的には臨床試験による同等性/同質性の評価が必要です。図3にバイオシミラーの臨床試験の概略を示しました。臨床薬物動態(PK)試験、薬力学(PD)試験、またはPK/PD試験により目的とする臨床エンドポイントにおける同等性/同質性を保証できる十分なデータが得られた場合には、有効性に関する臨床試験を省略できる場合があります。この場合も安全性に関する臨床試験の実施は求められます。

臨床試験による同等性/同質性評価は、得られたデータに基づき次の試験をデザインし、ステップ・バイ・ステップで実施すべきものであり、必要とされる臨床試験の種類と内容は先行バイオ医薬品に関する情報やその特性により大きく異なります。各製品で必要とされる臨床試験の範囲は、開発ステージで得られているデータに基づきケース・バイ・ケースの対応が必要となるので、各々の製品で適切な試験をデザインすることが求められます。

製造販売後調査

臨床試験により得られる情報は一般に限られており、バイオシミラーにおいては、特に、免疫原性の問題等、後発品と異なる要素があることから、製造販売後に安全性プロファイル等について引き続き調査する必要があります。その際、開発段階の同等性/同質性評価では十分に評価できなかったリスクを予め想定し、それを踏まえ適切にデザインされた製造販売後調査計画を立案する必要があります。承認申請に際しては「医薬品リスク管理計画(RMP)」を提出することが求められ、詳細については承認審査の過程で規制当局と議論することになります。RMPは独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで公表されています。

2024年7月更新

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