2026年度診療報酬改定(以下、2026年度改定)において、処方変更理由や服薬状況などの薬剤情報が適切に共有されないことによりポリファーマシー対策が途切れてしまうことを防止する観点から、病院薬剤師による施設間の薬剤情報連携を促進するため、「薬剤総合評価調整加算」の評価と要件の見直しが行われました。加算点数は100点から160点に引き上げられるとともに、算定要件に「転院時又は退院時における施設間での文書による薬剤情報連携」が明記されました。
「薬剤総合評価調整加算」の評価と要件を見直し、160点に引き上げ
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】」
今回の改定によって情報提供先が転医先・転所先・保険薬局まで拡大したため、保険薬局への情報提供のみを評価する「退院時薬剤情報連携加算」は廃止され、「薬剤総合評価調整加算」に統合される形となりました。病院薬剤師は、転院または退院時までポリファーマシー対策をするだけにとどまらず、退院後の患者の服薬状況を保健薬局へ適切に引き継ぐことが求められるようになります。
厚生労働省は2026年3月5日、2026年度診療報酬改定に合わせて、同年6月1日から適用する処方箋様式を公表しました。患家に残薬があることを薬局において確認した場合に、保険薬局が残薬対策として処方先の医療機関と連携して処方内容を円滑に調整できるようにするため、「保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応」欄に2つのチェックボックスが設けられました。
チェックボックスでの指示により、実効性の高い残薬対策が可能に
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】」をもとに一部改変
これまでは薬局が残薬を把握しても、その場で行えるのは、処方医への「情報提供のみ」だったため、残薬調整は医療機関が次回の処方時において行うということになっていました。2026年6月1日から適用される処方箋様式では、「保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応」という欄を新たに設け、(1)保険医療機関へ疑義照会した上で調剤、(2)調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関へ情報提供――のいずれかをチェックできるようになりました。今回の変更によって、医師が処方箋内のチェックボックスに指示を入れていたら、薬局はその指示に基づき残薬調整をその場で行えるようになりました。
また、「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関へ情報提供」にチェックがついていて、7日分以上の調剤日数の変更が行われた場合、薬局は残薬を確認して調剤する薬剤を減量した時の評価として新設された「調剤時残薬調整加算」の50点もしくは30点を算定することができます。なお、6日分以下の調剤日数変更については、その理由を調剤報酬明細書に明記する必要があります。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
なお、新しい処方箋様式について規定している「保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部を改正する省令」(令和8年厚生労働省令第21号)では経過措置として、「旧様式による用紙は、当分の間、これを取り繕って使用することができる」としています。
【参考にした厚生労働省の資料(2026年4月20日時点)】
令和8年度診療報酬改定の概要【医科全体版】
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】
中央社会保険医療協議会 総会(第647回)「個別改定項目について(総-1 8.2.13)」
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表
保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第5号)
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添3「調剤報酬点数表に関する事項」
基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号)
中央社会保険医療協議会 総会(第637回)「個別事項について(その19)残薬対策(総-3 7.12.19)」
本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。