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2022年度診療報酬改定

処方箋様式の見直し

 一定期間内に反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける

POINT

症状が安定している患者について、医師の処方により医師や薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設けた。

リフィル処方箋の仕組み
リフィル処方箋の仕組み2
厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要(調剤)」を基に作成

症状が安定している患者について、医師の処方により医師や薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設け、処方箋の様式を見直した。

保険医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合は、処方箋の「リフィル可」欄にレ点を記入する。リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までとし、1回当たりの投薬期間・総投薬期間については、医師が、患者の病状などを踏まえ、個別に医学的に適切と判断した期間とする。ただし、保険医療機関や保険医療養担当規則において、投薬量に限度が定められている医薬品や湿布薬については、リフィル処方箋による投薬は行えない。

また、2022年3月31日の事務連絡によるとリフィル処方を行う医薬品と行わない医薬品を処方する場合や、リフィル処方箋により2種類以上の医薬品を投薬する場合であって、1回の投薬期間が異なる場合、リフィル処方箋の使用回数の上限が異なる場合は処方箋を分ける必要があることが明確にされた。

リフィル処方箋による1回目の調剤を行うことが可能な期間については、通常の処方箋の場合と同様とし、2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日とし、その前後7日以内とする。

保険薬局は、1回目または2回目(3回可の場合)に調剤を行った場合、リフィル処方箋に 調剤日や次回調剤予定日を記載するとともに、調剤を実施した保険薬局の名称や保険薬剤師の氏名を余白または裏面に記載の上、当該リフィル処方箋の写しを保管する。また、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管することとする。

保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況などの確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合は、調剤を行わず、受診勧奨を行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行う必要がある。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容や患者の服薬状況などについて、必要に応じて処方医へ情報提供を行う。

保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋の交付を受けた患者に対し、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受けるべきである旨を説明することに加え、患者の次回の調剤を受ける予定を確認する必要がある。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話などにより調剤の状況を確認する。患者が他の保険薬局において調剤を受けることを申し出ている場合は、当該他の保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供することが求められている。

同じく事務連絡によると、リフィル処方箋の写しについては3年間保管することや、次回調剤予定日の前後7日以外の日に受け付けた場合は、調剤を行うことができないなどが明確にされた。

処方箋料の見直し

 リフィル処方箋で処方を行った場合の要件見直す

POINT

リフィル処方箋により、当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しないこととする。

改定前 改定後
【処方箋料】
[算定要件]
注2区分番号A000に掲げる初診料の注2または注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2または注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。
【処方箋料】
[算定要件]
注2 区分番号A000に掲げる初診料の注2または注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2または注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合(処方箋の複数回(3回までに限る。)の使用を可能とする場合であって、当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合を除く。)には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。
厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要」を基に作成

患者の状態に応じた適切な処方を評価する観点から、リフィル処方箋により処方を行った場合について、処方箋料の要件を見直した。具体的には、リフィル処方箋により、当該処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の投薬を行った場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しないこととした。

 答申書附帯意見で「今回改定による影響の調査・検証を」

リフィル制度を巡っては、2021年7月14日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で、厚生労働省が、海外のリフィル制度の資料を示していた。資料には、イギリス、フランス、アメリカ、オーストラリアのリフィル制度の有無や導入時期、対象患者、リフィル処方箋の有効期限(調剤可能期間)、対象薬剤の規制、業務の流れなどが記載されている。例えば、フランスでは、「慢性疾患の患者が処方箋を紛失した場合、手元の古い処方箋を薬局に持参し、治療薬を証明することも可能」「慢性治療(避妊薬、心血管疾患、ホルモン治療及び糖尿病薬)におけるリフィル処方箋の期限が過ぎた場合でも、継続服用が必要な患者に対して、薬剤師が追加で薬剤を出すことが可能」としており、リフィル処方箋の有効期限を「処方箋は6カ月の期間を限度(処方箋の有効期間1年)」などとしていた。

また、診療報酬改定に関する答申書(2022年2月9日)の附帯意見においても、リフィル処方箋を取り上げ、「処方箋の様式及び処方箋料の見直し等、リフィル処方箋の導入に係る取組について、今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、適切な運用や活用策について引き続き検討すること」としていた。

【参考にした厚生労働省の資料(2022年6月1日時点)】
個別改定項目について
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000905284.pdf
令和4年度診療報酬改定の概要
 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000943459.pdf
令和4年度厚生労働省告示第54号 別表第一(医科点数表)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000907834.pdf
別紙4. 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)【令和4年4月1日施行】
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894878.pdf
令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911825.pdf
中央社会保険医療協議会総会(第483回)調剤(その1)について(総-5)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000805792.pdf
中央社会保険医療協議会総会(第516回)答申書(令和4年度診療報酬改定について)(総-2)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894872.pdf
疑義解釈資料の送付について(その1)
 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000938947.pdf

執筆:CBホールディングス CBニュース編集部

※診療報酬改定に係る詳しい内容はこちらをご確認ください

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。