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公開日:2022年7月11日
更新日:2025年8月

がん治療と仕事の両立を多職種で支援
「その離職、待って」と患者に呼び掛け

名古屋市昭和区にあります日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院(以後、名古屋第二病院)は、多職種による「がんサポート部会」をがん相談支援センター内に立ち上げ、治療と仕事の両立支援にいち早く注力している病院です。がんと診断された患者さんが早まって退職するのを防ぐことや治療が一段落した患者さんの円滑な職場復帰のサポートに薬剤師も積極的に取り組んでいるのも特徴となっています。
病院による就労支援を評価する診療報酬が2018年に新設されたこともあり、院内でのチームの存在感が高まるとともに、社会保険労務士やキャリアコンサルタントなど院外の協力者とも連携し、その活動が地域ぐるみのものへと発展している中、同院の円滑な就労支援のポイントと、これまでの歩みを薬剤部の木全司部長と髙原悠子先生にうかがいました。

(取材日時:2021年9月10日  取材場所:ストリングスホテル八事名古屋[リモートによる取材]) 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 薬剤部長 木全司先生、髙原悠子先生
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
薬剤部長 木全司先生(右)、髙原悠子先生(左)

(取材日時:2021年9月10日  取材場所:ストリングスホテル八事名古屋[リモートによる取材])
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
薬剤部長 木全司先生(右)、髙原悠子先生(左)

当院の特徴と地域での役割、薬剤部の取り組みについて

木全薬剤部長 名古屋第二病院は、名古屋第二赤十字病院として地域に長年親しまれてきましたが、2021年7月に新体制へ移行したのに合わせて改称されました。現在は、日本赤十字社愛知医療センターが名古屋第一病院(名古屋市中村区)と一体的に運営しています。これら2つの病院がある名古屋・尾張中部医療圏では、人口減少と高齢化が2040年にかけて進む見通しです(図1)。
新体制への移行は地域医療のニーズの変化に対応することを目的とし、両病院は医療レベルの一層の向上を共に目指します。薬剤部としては、外来化学療法の質を向上させるため、地域の保険薬局の薬剤師の皆様と「薬薬連携」に力を入れて取り組んでいます。
また、医薬品の合理的な使用を促すため、フォーミュラリ(医薬品の推奨リスト)の活用も始める方針で、院内の「薬事委員会」で既に承認されました。各診療科の医師に協力を呼び掛けて、活用を広げることにしています。いずれは地域フォーミュラリの展開を図りたいと考えています。

図1 名古屋市の人口動態予測(2013-40年)

名古屋市の人口動態予測
出典:「愛知県地域医療構想」一部改変

「就労世代」の離職についてうかがいました>