薬剤業務における不易流行 ~がん薬物療法のデジタルトランスフォーメーション、そして変わらざるもの

公開:2022年01月26日
更新:2024年03月

地方独立行政法人
神戸市民病院機構
神戸市立医療センター中央市民病院 
薬剤部長

室井 延之 先生

COVID-19の流行や薬剤師を取り巻く課題があるなか、薬剤師に求められる役割が大きく変化しています。今回、神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部長として活躍されている室井延之先生に、薬剤業務に大きな変革をもたらし始めているデジタルトランスフォーメーションの実際や生み出す効果、兵庫県内における新しい薬剤師連携などをはじめ具体的な取り組みや今後の展望について、不易流行という視点からの分析も交えながらお話を伺いました。
(取材日:2021年7月21日、取材場所:神戸ポートピアホテル)

薬剤師の現在地〜COVID-19から現状、課題、展望まで

COVID-19対応への薬剤師の貢献、地域連携の効果 ※COVID-19に関する内容は取材当時の情報を基にしております。

いまだかつて経験したことのないCOVID-19(coronavirus disease-19、新型コロナウイルス感染症)の世界的なパンデミックが続いています。2020年の流行初期から当院においてもCOVID-19に耐えうる体制を構築し、薬剤部では、病棟の体制が随時変化するなか、治療薬を安全に安定して供給・管理するという本質的な役割を果たすように努めてきました。

また、今回のパンデミックにおける薬剤師の重要な活動の1つに、COVID-19ワクチンの管理・調製があります。兵庫県には病院薬剤師会と薬剤師会が事業を統合するなどして以前から連携基盤が構築されていたため、兵庫県内の接種会場でのワクチン調製、兵庫県病院薬剤師会が開催するワクチン調製研修会への講師派遣などを行い、ワクチン接種についても迅速に対応でき、地域連携が実を結んだと思います。

薬剤師を取り巻く現状と地域偏在という課題、デジタル化の推進

医師の働き方改革に関する議論では薬剤師も含めたタスクシフトの必要性が議論されています。そのような環境のなか、薬剤師には病棟常駐だけではなく、薬剤師外来、そして退院後の在宅医療といった患者さんの暮らしにつないでいく大切な仕事が求められています。しかし、多くの病院では新しい業務に取り組むためのリソース不足、つまり人員が足りないという課題があります。そして、その主な背景要因の一つには、薬剤師の地域偏在があります。

全国自治体病院協議会薬剤部会の調査では、2019年度において319施設の自治体病院のうち、人材募集をしても必要な常勤薬剤師が1人も確保できなかった病院は36.1%、一部しか確保できなかった病院は25.7%となり、合計約6割は必要な人員を確保できていません。なかでも政令指定都市や中核都市以外の地域や医療資源が少ない地域にある109施設では、1人も確保できなかった病院は54.1%、一部しか確保できなかった病院は14.7%と合計約7割に達しており1)、いかに地域偏在が大きいかを示す結果となっています(図1)。

また、2020年に施行された改正薬機法において保険薬局に対して継続した服薬指導などの薬局機能の強化が求められ、一方、病院薬剤部においては同様に対人業務へのシフトが求められていますが、この実現にはIoTの活用などのデジタル化も欠かせません。医療におけるデジタル化は、内閣府による「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020)」(令和2年7月17日閣議決定)でも指摘され、COVID-19流行の影響もあり、急速に推進されています。

図1 全国自治体病院協議会薬剤部会の調査による常勤薬剤師の2019年度採用状況(地域別)
文献1を参照して作成

薬剤師に望まれること、薬剤師がめざすべきこと〜暮らしを考えた薬物療法

2020年2月に開催された第41回日本病院薬剤師会近畿学術大会のテーマは「10年後に活躍する薬剤師」でした。その10年前の2010年を思い返すと、チーム医療や病棟業務の追い風になった厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について(医政発0430第1号)」が発出された重要な年でした。その後、2021年9月30日に「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について(医政発0930第16号)」も発出され、10年が経過した今、院内のチーム医療である病院完結型から、地域における多職種協働マネジメントという地域完結型へ医療は大きく変化しています。

このような変化に伴って、誰が介護し服薬や食事を介助するのか、いつ入浴しトイレに行くのかなどの退院する患者さんの暮らしを聞き、薬がその暮らしに影響を与えないかを考える視点、つまり、患者さんの暮らしを考えて薬物療法を提供することが求められるようになってきました。現在、日本病院薬剤師会薬剤業務委員会では、入院医療の前後を探ることが新しい薬剤師の業務であると考え、入退院支援業務の全国への推進をめざして活動しています。また、機能分化が進み、病院ごとの役割が明確化されてきた一方で、病院と病院をつなぐことは容易ではなくなりました。病院と在宅、病院と地域、病院と病院などの双方をつなぐあらゆる場面で薬剤師の介入が期待されています2)

神戸市立医療センター中央市民病院における取り組みから薬剤師の役割を考える

適正使用を目的としたirAEマネジメントチームにおいて薬剤師が担う役割

近年、免疫チェックポイント阻害薬の適応が拡大され使用が広がっています。これまでの抗がん薬と異なり、全身性に生じうる免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)が指摘されています。そのため、患者さんへの十分な説明が必要となり、また、高価な医薬品でもあるため、適正に安全に使用してもらうことが欠かせません。そこで、免疫チェックポイント阻害薬の導入時にirAEをマネジメントするチームを立ち上げました。例えば、肺がんに使用する場合でも、呼吸器科だけではなくirAEに対して複数の診療科と連携して多職種で診療を進めていきます。

チームにおける薬剤師の役割は、患者さんに適切な使い方を理解してもらうアドヒアランスの向上にあります。患者さんに治療内容を理解してもらうことで、irAEの早期発見につながり、軽減させながら治療を継続できます。その実現のために、説明冊子(図2)を用いて患者さんへの説明やirAEのモニタリングを行っています。なかでも特に注意すべきポイントを患者さんに伝え、異変があれば冊子に記載されている緊急連絡先へ連絡してもらうことを徹底しています。具体的な治療の流れ(図3)としては、投与前には、薬剤師が検査の説明や免疫チェックポイント阻害薬の使い方、日誌(ダイアリー)の書き方などを指導します。投与後の入院中は毎日、日誌などを見ながらCTCAE(common terminology criteria for adverse events)に基づくテンプレートを利用してirAEのGrade評価を行い、患者さんにもセルフチェックをしてもらいます。退院後は、外来時に日誌を見て対面でirAEを確認します。これらの情報は随時カルテに記録します。

図2 免疫チェックポイント阻害薬の投与患者さんに対して活用する説明冊子
薬効・作用機序、投与スケジュール、特に注意すべきirAE(間質性肺炎、重篤な大腸炎、重篤な皮膚障害、1型糖尿病)、ワクチン接種、薬剤費、ダイアリー、高額療養費制度などを解説。室井延之先生提供

図3 免疫チェックポイント阻害薬における治療の流れと多職種のかかわり
室井延之先生提供

PBPMに基づく検査オーダーによって医師の負担を軽減する

一連の治療のなかでは、薬剤師が検査入力の支援をすることで医師の負担軽減につなげています。検査数が多く、実施時期もさまざまなパターンがあるので、医師もときにはオーダーを失念することがあります。以前は薬剤師がチェックして医師に検査オーダーの提案をしていましたが、今は踏み込んで、漏れていた場合は薬剤師が検査オーダーをするようになりました。

薬剤師による検査オーダーの導入に向けては、診療科とカンファレンスを行い、病院の幹部会・運営協議会で運用指針プロトコールに組み込むことを決定し、PBPM(protocol based pharmacotherapy management、プロトコールに基づく薬物治療管理)を開始しました。

肺がん治療中の検査の実態を調査したところ、PBPMに基づいて薬剤師が検査オーダーをすることでより多くの検査が実施されました(図4)。検査実施率100%という数字が目標ではなく、大切なことは検査によってirAEを早期発見し対応できることにあります。PBPMに基づく検査オーダーは、安全で安心な薬物療法を支えるために薬剤師が大きく貢献できる取り組みであると考えています。

図4 薬剤師による医師への検査オーダーの提案とPBPMに基づく検査オーダーによる検査実施率
文献3を参照して作成

病院と保険薬局の連携により副作用の早期発見、重篤化の防止につなげる

外来での薬物療法の安全性を継続的に担保していくためには、現状での診療報酬の有無にかかわらず薬剤師外来は大切であると考えています。令和2年度の診療報酬改定では、連携充実加算などによって保険薬局との連携が大きく評価されました。当院でも、化学療法に関しては、薬剤師が患者さんに服薬指導した内容と抗がん薬による副作用のGrade評価について記載したレジメンシールをお薬手帳に貼付するなどして保険薬局に情報提供しています(図5)。

また、保険薬局からも在宅医療における副作用症状を情報提供してもらい、当院での診療にフィードバックしています。大切なことは、私たち薬剤師が共有している情報を医師や看護師とも共有して、早期発見や重篤化の防止にさらに努めることであると思います。

図5 情報共有のためにお薬手帳に貼付するレジメンシール
室井延之先生提供

兵庫県病院薬剤師会による地域の環境作り

地域連携の活動の1つとして、現在、兵庫県病院薬剤師会に先進的薬剤業務特別委員会が立ち上げられています。目的は、広大な兵庫県内において、入退院支援業務やがん治療業務における各施設のノウハウを共有すること、さらに、施設の状況に応じた業務の導入方法を考えていくことにあります。まずは特に連携充実加算を算定できる施設をより一層、広げることをめざしています。委員の中心となっている若い薬剤師の方々は、アクティビティーと創造性が高く、大変活発に活動しています。具体的には、現在、副作用モニタリングなどの連携ツールの作成に取り組んでいます。

また、兵庫県病院薬剤師会では、コロナ禍で研修や勉強会が開催できないことから、独自の視聴歴の確認や質問などができる認定単位取得が可能なウェブ配信のシステムを作り、2020年8月から運用しています。薬剤師の情報共有とともに学びの場を構築し、患者さんによりよい薬物療法を提供できる環境作りを推進しています。

薬剤業務のこれから〜デジタルトランスフォーメーションが及ぼす影響

医療における急速なデジタルトランスフォーメーションの導入

医療や介護の現場、患者さんの生活支援において、最新技術の開発やデジタル化、いわゆるデジタルトランスフォーメーションが急速に発展しています。先述の「骨太方針2020」 においても医療のデジタル化が提唱され、オンライン診療や電子処方箋の導入が進んでいます。マイナンバーカードの健康保険証利用が開始されており、地域連携推進のため、いずれお薬手帳にも広がる可能性があり、調剤業務においてもデジタルトランスフォーメーションが推進されています(表1)。

表1 調剤業務におけるデジタルトランスフォーメーションが及ぼす影響
・調剤のあり方を考え、働き方改革につながる
調剤業務のデジタル化、薬剤師以外の者の活用
・安全な調剤環境の構築
ヒューマンエラーによる調剤ミスを防止
・薬剤業務の質向上
病棟薬剤業務、薬剤師外来、入退院支援業務
・タスクシフティングによる薬物療法の安全性の向上
プロトコールに基づく薬物治療管理の活用
・医薬品購入費の削減
調剤業務と連動した適正な在庫管理
・地域連携推進のためのデジタル化
電子お薬手帳と電子カルテ間の情報共有など

室井延之先生提供

業務の見える化・効率化によって地域における自院の役割を再確認し連携する

タスクシフティングの推進にあたっては、薬剤師を含めたスタッフ全員が自分の病院の機能・役割を理解して、そのなかで展開すべき業務は何かを考える必要があります。そのためには、業務の見える化と効率化が大切です。自らの業務をタイムスタディで分析し、集中すべき業務を考えます。また、単なる処方提案ではなくマネジメント手順を作成し日常業務に実装し、その効果を絶えず検証することも必要です。そして、地域全体におけるタスクシフティングの視点をもって、基幹病院の中だけではなく、地域の病院と連携して薬学的ケアの実践ノウハウを共有することも大切です。

タスクシフティングとタイムスタディによる業務の分担、効率化

タスクシフティングにあたって重要なのは、病院全体の業務を把握することと、誰が行うのが適切なのかを考えることです。薬剤師が行うことで薬物療法の安全性が向上するなら、それはタスクシフティングとして実施すべきだと思います。

しかし、それだけでは病院全体の仕事量は変わらず、薬剤師の仕事が増えることになります。

そこで、業務を時間内に行うために、まずは各業務を成し遂げるのに必要な時間を測定するタイムスタディ(図6)を行い、時間のかかる業務、他に任せられる業務、効率化できる業務などを洗い出します。

病棟業務については、個々の薬剤師がどの病棟にも行ける状態にして流動的に動かすとともに、業務分担と配置を薬剤部内に掲示し相互の協力を促します。

図6 業務を見える化するタイムスタディ調査
室井延之先生提供

デジタルトランスフォーメーションによって捻出した時間を臨床業務へ割り当てる

デジタルトランスフォーメーションの導入は、薬剤師が臨床業務により多くの時間を割けることになり、働き方改革やタスクシフティングにもつながっていきます。また、調剤室での業務は緊張感があり単純作業も多いため、デジタルトランスフォーメーションによってヒューマンエラーが要因の調剤ミスを防止するなど安全・安心な調剤環境の構築にもつながります。調剤は薬剤師の基本であり大切なことだと思いますが、現在ではロボットに任せて臨床業務や病棟業務を担う方が薬物療法の質がより向上し、病院機能を支えることになると考えています。大切なことは、薬剤師の視点でいかに病院機能を支えるかなのです。また、安全性の向上と効率化を目的に調剤ロボットを導入しています(図7)。すべてをロボットが代替できる訳ではありませんが、手が空いた時間で新しい臨床業務が可能になり、小さな積み重ねが大事だと思います。

当院でのタイムスタディの結果では化学療法や調剤業務に多くの時間が割かれていましたが(図6)、だからといって調剤をすべてロボットや薬剤師以外の者に任せる訳ではなく、本当に薬剤師がかかわるべきプロセスは何かを考えることが大切です。ロボットによる調剤の安全性をしっかり検証した上で、薬剤の取り揃えはロボットが行い、最終監査を薬剤師が担っています(図7)。ロボット導入によって薬剤師が調剤室から病棟に上がれるようになり、在庫の減少や医師の働き方改革にもつながりましたので、IoT化やロボットの導入は経営的にも効果があると思っています。

図7 薬剤部で導入している自動薬剤ピッキング装置(左)、散薬調剤ロボット(中央)、抗がん薬調製ロボット(右)

医療の多様化に対応できるファーマシスト・サイエンティストを薬剤師レジデント制度で養成する

医療の多様化に対応できる人材育成も大きなテーマになっています。当院では、薬剤師免許取得後の2年間の卒後教育として薬剤師レジデント制度を導入し、専門薬剤師取得につなげるプログラムを組んでいます。また、多様性への対応を意識しています。プログラムに定められた期間と目標の達成に近づけるのは大切ですが、プログラムに縛られるのではなく、それぞれの多様性も大切にしています。

そして、薬剤師レジデント制度の一番の目的は、ファーマシスト・サイエンティストの養成にあります。ファーマシスト・サイエンティストとは、臨床現場のクリニカルクエスチョンを見つけ、それを研究によって解決できる薬剤師のことであり、臨床マインドと研究マインドの両者を身につけた薬剤師の育成に取り組んでいます。研究には、専門性はもちろん創造性や研究する心と態度を育成する教育のプロセスもあります。研究プロトコールを作る際には、患者さんの同意の取り方などを経験することで倫理の基本を学ぶことができます。それらが薬剤部のアクティビティや個人のキャリアパスにもつながります。

ともに学び、スタディーマインドを高め、よい相乗効果を生み出す

ともに学ぶことを教育においては大切にしています。先輩薬剤師は薬剤師レジデントを教え、薬剤師レジデントは学生を教え、いわゆる屋根瓦方式によって他者から教えてもらうことで学びます。患者さんから学ぶことも多くあります。一人一人の患者さんに対してクリニカルクエスチョンを見つけ、科学的方法を用いて解決方法を導き出し、治療へフィードバックして貢献する、つまりスタディーマインドをもつのが臨床薬剤師であり、今、必要とされています。

教育に力を入れ始めると、中堅以上の薬剤師による論文執筆や学会発表も活発になりました。すると、若い薬剤師にも刺激になります。このようなよい相乗効果に全員を巻き込むことが大切だと思います。人が足りないからできない、できないから人がまた来ないといった薬剤師を巡る状況にありがちな負の相乗効果とも言うべきループは断ち切る必要があります。教育の充実がその変化のきっかけになればと思い取り組んでいます。

薬剤業務における「不易流行」とは

変わるもの、変わらざるものを捉える

俳人・松尾芭蕉が残した言葉に「不易流行」があります。「不易」とは、いつまでも変わらないこと、そして、「流行」とは、時代に応じて変化していくことです。この不易と流行の視点をもつことで現状を捉えやすくなるのではないかと思います。

薬剤業務における不易とは何かを考えると、先ほどのファーマシスト・サイエンティストの実践にあると思います。研究ができる臨床薬剤師は、どんなに機械化が進んでも、COVID-19流行下でも、時代を超えて変わらずに必要とされるでしょう。また、私は薬剤師にはいつどこでも変わらずに創造性が大切だと思います。例えば、処方提案などにおいても、臨床的に意味のある違いを知る能力は薬剤師がもち続けるべき基本となります。

一方で、薬剤業務における流行とは、薬剤師の役割を時代に合わせて新たに工夫し考えることだと思います。例えば、これからの地域連携のあり方を考えたり、デジタル化をどのように取り入れるかなどが流行に当たるでしょう。AIやロボットについては、薬剤師が取って代わられるのではなく、いかにAIやロボットを活用するかが大事だと思います。テクノロジーの進化の波が押し寄せ、10年後や次世代に活躍する薬剤師を考えることがチャンスにつながります。一方で、デジタル化を進めるとすべてが変わってしまうのではなく、変わらず残るものもあります。調剤の本質は変わらず、薬剤師の本質につながるものです。科学的に薬を知ることは薬剤師の基本であり、不易であると言えるでしょう。

POINT

  • 薬剤師の地域偏在により人員不足などの課題があるなか、保険薬局における薬局機能の強化や、病院薬剤部における対人業務へのシフトの実現には、デジタル化が欠かせません。
  • 院内のチーム医療である病院完結型から、地域における多職種協働マネジメントという地域完結型へ医療は変化しています。これらの変化に伴って、薬剤師には、患者さんの暮らしを考えて薬物療法を提供することが求められています。
  • タスクシフティングの推進にあたっては、薬剤師を含めたスタッフ全員が自院の機能・役割を理解して、展開すべき業務を考える必要があります。そのためには、業務の見える化と効率化が大切です。そして、重要なのは、病院全体の業務を把握することと、誰が行うのが適切なのかを考えることです。
  • 医療の多様化に対応できる人材育成のために、薬剤師レジデント制度を導入するなどして、臨床現場のクリニカルクエスチョンを見つけ研究によって解決できるファーマシスト・サイエンティストを養成することが求められています。
  • 薬剤業務における不易とは、ファーマシスト・サイエンティストの実践にあります。
  • 薬剤業務における流行とは、地域連携のあり方の検討やデジタル化の推進など、薬剤師の役割を時代に合わせて新たに工夫し考えることです。
  • デジタル化ですべてが変わってしまうのではなく、調剤の本質は変わらず、科学的に薬を知ることは薬剤師の基本であり、不易であると言えます。
文献
  • 1) 自治体病院の実態調査 6割の施設で薬剤師採用難. 薬事日報, 第12480号, p.1, 2021年7 月14日(室井延之 : 薬剤師の地域偏在~全国自治体病院実態調査結果より~. シンポジウム①病院薬剤師の地域偏在と解消を考える, 第4回日本病院薬剤師会Future Pharmacist Forum, 2021)
  • 2) 日本病院薬剤師会薬剤業務委員会 : 「地域と病院とをつなぐ薬剤師の入退院支援業務事例集」の公表について. 令和3年6月7日
    https://www.jshp.or.jp/banner/guideline/20210607.html
  • 3) Ikesue H, et al. : J Clin Pharm Ther, 45 : 1288-1294, 2020
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