医療人としての覚悟をもち誰からも信頼される薬剤師を育てるために ~薬剤師レジデント制度によるジェネラリストとスペシャリストの育成

公開:2021年12月23日
更新:2022年12月

筑波大学附属病院 
薬剤部 薬剤部長

筑波大学医学医療系 
臨床薬剤学 教授

本間 真人 先生

近年のチーム医療の推進によって、病院薬剤師にはその専門性を発揮することが求められています。また、薬物療法が高度化、専門化するなか、スペシャリストの養成とともに、その前段階となるジェネラリストの早期の養成も必要とされています。今回、医師と薬剤師が共同で研修するなど独自性の高いプログラムによって、即戦力となるジェネラリストを育成するとともに、その後のがん薬物療法などのスペシャリストの育成を見据えた薬剤師レジデント制度を導入し、医療人としての薬剤師教育に尽力されている本間真人先生にその方針や取り組み、今後の展望などについてお話を伺いました。
(取材日:2021年8月5日、取材場所:ホテル日航つくば)

はじめに〜薬剤師の専門性の発揮

チーム医療において病院薬剤師に求められる役割

2000年代に入りチーム医療の必要性が提唱され始め、当院でも病院長から「チーム医療は役割分担ではなく、それぞれの職種が専門性を発揮することである」という方針が示されました。医師は患者さんの診断・治療に、看護師は患者ケアに、そして、薬剤師は薬物療法に責任をもってそれぞれの専門性を発揮することが求められました。

薬剤師の専門性として最も重要なのは、医師の処方を監査することにあります。つまり、その薬が正しい用法・用量か、相互作用の問題はないかなどをチェックすることです。腎機能が低下している患者さんに対して、必要な減量をせずに投与してしまうと副作用が起こりえます。このような事態を避けるため、薬剤師が検査値を含めた処方の適切性をチェックし、医師に対して減量などの提案を行うことが重要です。がん治療においては、抗がん薬の投与・調製プロセスでも薬剤師の専門性が求められます。毒性の強い抗がん薬は予め登録されたレジメンに従って投与しなければなりませんが、そのレジメンの作成や投与前にはレジメンに基づいた投与か否かのチェックも必要です。また、抗がん薬の混合調製に間違いがあれば、患者さんが重篤な状態になりかねません。

専門性を発揮できる薬剤師を育成するために

薬剤師レジデント制度導入の必要性

薬剤師が医師に処方提案を行う環境が整い始めた2012年には、病棟薬剤業務実施加算が新設されました。薬剤師が入院患者さんの薬物治療を評価して、適正な用法・用量、副作用の有無などを確認する業務に対して診療報酬が認められるようになったのです。

薬剤師の専門性を発揮する業務が発展し、患者さんの生命にかかわる責任も生まれてきました。しかし、現場で経験を積み重ねのなかで習得させる従来の教育体制のままでは、その変化に追いつかなくなっていました。例えば、国家試験を合格したばかりの薬剤師に、抗がん薬の処方監査や調製業務を任せることはできません。また、経験のない新人薬剤師が入院患者の副作用の有無や相互作用を確認することはリスクを伴います。

医師に対しては、大学を卒業してから実地訓練を積む2年間の臨床研修が義務づけられています。看護師も卒後研修が推奨されています。しかし、薬剤師の卒後研修については何も整備されていない状況です。薬学部6年制導入時に卒前実習で即戦力の養成を行うカリキュラムにするべきだったと私は思いますが、残念ながら、卒前の臨床実習は5カ月間で病院業務と薬局業務を各11週ずつ経験することにとどまり、即戦力を育てる実習はできていないのが現状です。一方で、病院薬剤部では日々リスクの高い業務を最低限の人数で行っていますので、短い時間で即戦力となる薬剤師を養成する必要があります。このような背景から、薬剤師に対しても医師のレジデントと同じような臨床研修が必要であると考えます。

医療の高度化、専門化に早期に対応するためにもジェネラリスト育成の必要がある

大学病院や国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)などが中心となり、日本薬剤師レジデント制度研究会が2014年に創設され活動しています。当院は発足当時から参加し、研修制度などについて意見交換してきました。大学病院とナショナルセンターでは育成方針が異なり、大学病院ではなるべく早くジェネラリストとして一人前になることを目的としていますが、ナショナルセンターでは専門薬剤師の養成をめざしています。

医療制度が変化するなかで、急性期病院では短期間に集中的に治療し、その後は地域のかかりつけ医や療養型施設に移行するための効率的な医療が求められています。短期間で効果的になおかつ安全性を担保して治療することは、医師にとっても負担になります。例えば、持病の糖尿病を抱えて糖尿病治療薬を服用している患者さんが、がんを発症し入院してきた場合、がん専門医はがん治療に対応できますが、非専門の糖尿病への対応に苦慮します。さらに高血圧や脂質異常症といった生活習慣病や運動器疾患なども併存している、いわゆるポリファーマシーの状態では、適正な処方構築が困難になります。そこで、薬剤師の対応が求められます。処方薬の整理や相互作用をチェックすることは病院薬剤師の重要な仕事になっていますが、医療の高度化、専門化に合わせ、必要な教育を受けて一定の水準に到達していないと、安心して薬剤業務を任せることはできないのです。

ひと昔前でしたら、薬剤師免許取得後、すぐに調剤業務に携わり、先輩薬剤師に実地で教えてもらえば十分だったのかもしれません。しかし、医療が高度専門化するなかで、先輩薬剤師であっても、基本的な薬剤業務を習得した後に、がんや感染症、精神科などの専門分野では認定薬剤師や専門薬剤師としての知識と技術が要求されます。新人薬剤師は自身がめざす専門性、方向性を定めるためにも、ジェネラリストとして早く一人前になる必要があり、そのために薬剤師レジデント制度が必要であると考えています。

薬剤師レジデント制度の内容と改善への取り組み

当院では、2011年から薬剤師レジデント制度を開始し、毎年3〜4名の薬剤師レジデントを受け入れています。給与が常勤職員と比較すると低いため、最初は応募者は少ないのではないかと思っていました。当院では、薬剤師レジデントの募集は常勤薬剤師の募集と同時に行っており、常勤と薬剤師レジデントのそれぞれの専願に加え、併願も可能にしています。レジデント制度を始めた当初はほとんどが併願での応募でしたが、その後、状況が変わり、ここ5年ほどは薬剤師レジデント専願が増え、また、併願でも薬剤師レジデントを第1希望にする人が多くなっています。

常勤薬剤師を育成するうえでの目的は、1人で夜間勤務を任せられるレベルにすることにあります。そのため、研修プログラムも調剤業務をメインに各部署の業務を時間をかけて習得する内容になっています。また、常勤の場合は、病院側の人員配置状況などによって配属先を決定しています。一方、薬剤師レジデントは、1年目の研修期間中に複数の診療科を経験し、病棟から調剤、製剤、薬物血中濃度測定など、ジェネラリストとして必要なほぼすべての業務を経験します(図1)。2年目には、相談のうえ本人が希望する専門分野を学ぶことができるプログラムになっています。また、薬剤師レジデントには夜間勤務がなく、常勤職員よりも1〜2時間程度、早めに業務を終了することが可能となっており、この夕方の時間を活用して、セミナー形式による症例報告や論文抄読などさまざまな方法で勉強できるようにしています。当院には研修医を対象にした診断・治療などを学ぶレクチャーが定期開催されており、こちらに一定程度、参加することも義務づけています。

私たちは、同じプログラムを継続するのではなく、年々改良していくことが重要と考えています。それも指導者側が独断で変えるのではなく、プログラムを体験した薬剤師レジデント自身にも考えてもらいます。プログラムを振り返り、経験として足りなかったことなどを検討し、新たに盛り込むべき内容や期間などについてまとめ、日本薬剤師レジデント研究会が開催しているレジデントフォーラムの場で発表してもらいます。

図1 筑波大学附属病院薬剤部の薬剤師レジデントプログラムの一例 
本間真人先生提供

ICU、外来化学療法室での研修が薬剤師には重要な意味をもつ

当院では、ICUに6〜7人の薬剤師を配置しています。常に患者さんの生死にかかわる治療が行われているICUでの業務は特別なものです。そのような環境で、薬剤の投与方法や投与量をチェックすることは大変緊張感を伴うもので、もしも間違えるようなことがあれば患者さんの予後に直結します。ICUにおける研修は、一般的な調剤などに対する監査よりも一段上のレベルを要求され、これを経験するか・しないかでは業務に対する適応力が大きく変わってきます。さらに、1つ1つの業務について、自分の間違いが引き起こす結果を予測する力も磨かれます。外来化学療法室もICUと同じく、抗がん薬調製での1つの間違いが患者さんの予後に大きく影響します。この外来化学療法室とICUをなるべく早く経験することが、薬剤師の業務を習得していくなかで重要であると考えています。病院内で最もリスクの高い現場を経験したうえで他の業務を担ってほしいと考え、レジデント1年目には必ず経験するプログラムにしています。

専門薬剤師取得を見据えた準備・サポート体制が重要

将来、がん専門薬剤師の取得をめざすならば、学会や研修会への参加が必須となりますが、さらにもう1つ必要なのが、症例サマリーの作成です。例えば、がん専門薬剤師では30症例のサマリーの提出が課せられています。しかも、専門薬剤師としてふさわしい薬学的介入や処方提案を行った症例でなくてはなりません。介入のレベルを一段上げるためには、最新の論文を読み、添付文書やガイドラインに基づいて、さらにプラスアルファの提案をする必要があります。そのため、薬剤師レジデントの頃から、症例報告をしたり、論文を読んで新しい知識を身につけて担当した患者さんに応用するなどの経験を介して、取得に向けて準備しておくことが重要です。2年目のプログラムでは、このように自分の将来を意識したうえで研修を続けてもらうと大変有効だと考えています。

最初のうちは介入症例として適切なのか、自分で判断するのは難しいと思います。そこで、当院に在籍するがん専門薬剤師をはじめ、感染制御専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師、妊婦・授乳婦専門薬剤師などがそれぞれの専門分野を担当し、適切な介入症例の選択やサマリーの書き方などのアドバイスをしてサポートしています。

薬剤師レジデントプログラム修了後の進路、可能性

薬剤師レジデントとして2年間のプログラム修了後の進路は個人によってさまざまです。当院に残るケースの他にも、大学病院での経験を活かして中小病院を希望するケースもあります。また、最終的に薬局薬剤師を希望し、まずは処方の発生源である病院で勉強したいという方もいました。私としても、医師がどのような意図をもって処方を構築しているのかを知ることはとても重要であると思います。そして、それは医師と話をしない限り知ることができません。将来、保険薬局での勤務を希望する場合にも、病院で研修することは大変意義があると思います。

これまでに、製薬会社の開発職の方が薬剤師レジデントを経験されたこともあります。自身が製薬会社で医薬品を開発していて、「本当に現場で役に立っているのか」、「医師は何を考えて新薬を使うのか」、「どのようなことに患者さんが困っているのか」などを医療の現場で見たかったようです。プログラム修了後は、また別の製薬会社の開発担当者として戻っていきましたが、ここでの経験は創薬研究や医薬品開発にも役に立つものだと思いました。

このようにさまざまな志望動機や進路がありますので、私としては、薬剤師レジデント制度の門戸は広く開けておきたいと思っています。

医療人として仕事をするうえで必要な覚悟を身につける

実は、今日は薬学生の病院実習(2.5カ月)の最終日でした。学生に実習期間の感想を聞いてみると、「結構長かった」、「短かった」、「ちょうどよかった」などいろいろな意見がありました。そのような学生たちに対して、私はいつも「薬学部の実習では全く足りません」という話をします。医学部に通う学生は、同じ6年制でも1年以上の実習を行います。看護師は4年制で半年以上、臨床検査技師も4年制で半年の臨床実習が卒前にあります。もちろん、ただ単に長期間の実習をすればいい訳ではなく、将来の目標によっても考え方が異なってきます。しかし、私の経験上、もしも医療人になる気持ちがあるなら、学生の間に最低でも半年以上は病院を見てほしいと思っています。薬剤師の国家資格を得るということは、国が薬剤師として働く許可を与えたことになります。その資格で仕事をするのであれば、それなりの“覚悟”をもたなければなりません。2.5カ月ほどの実習では医療人としての覚悟をもつには足りないでしょう。臨床の現場で得られる経験は、何物にも代えがたいものであり、どれだけ効率化しても一定の時間は必要だと思います。私は今日、学生たちに「医療の役に立つようなフィードバックができて初めて、医療人としての覚悟ができる」と話しました。彼らは、「私たちのレベルではフィードバックはできない」と言いますが、そんなことはありません。学生でもやる気さえあれば、患者さんや医師に対しても有益な情報を提供できると思います。そのような意識をもって実習をしていたのかといえば決してそうではなく、彼らは受け身で教わるために来ていたのだと思います。自分には何ができるかという視点で考えながら勉強することが本来の臨床実習だと思うのです。

以前、私は薬科大学大学院で教員をしており、医療薬学専攻修士課程の学生を担当していました。当時、病院実習に臨む学生たちに、「10のことを教わったら、1つでいいからその医師に有用な情報を返しなさい」と話していました。患者さんに対しても同じ姿勢で、「1つでいいから担当患者さんのためになることをしなさい」と伝えていました。お礼奉公をすることが、彼らが実りある実習をできたかどうかの証だと思うのです。

私としては、薬剤師レジデントの研修期間中にそのような医療人としての覚悟をもってほしいという気持ちがあります。

医療の進歩のために薬剤師にも今こそ必要なリサーチマインド

薬学部や医学部の教員を務めて思うのは、進歩なくして医療は良くならないということです。そして、進歩するうえで必要になるのは、問題を解決しようと試みるリサーチマインドです。医師は治療や診断の限界を感じると大学に戻って研究をします。これは素晴らしいシステムであり、薬剤師も同様であるべきと思っています。薬剤師も日々の業務をこなすだけではなく、最適な薬物療法や副作用を低減する方法などへの疑問や気づきが生まれるはずで、それを解決するリサーチをしてほしいと思っています。

以前、私は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)へ留学した際に、病院薬剤師(Pharm.D.)の活動を見る機会がありました。彼らは通常の業務をしながら、研究や学生教育にも取り組んでいました。教育、研究、実務の3つに携わることは、どの医療職にとっても必要なことです。所属していた研究室の主催者は、Pharm.D.でありながらリサーチをメインとして学生教育に携わっていました。その方が話した「一次情報を発信できる能力がある限り、薬剤師は医療のなかで必要とされる」という言葉が、今も私の頭に残っています。つまり、研究によって問題を解決できる能力さえもっていれば、不要な人材になることはないのです。これからの病院薬剤師にはぜひリサーチマインドを備えてほしいと思っています。

薬剤師も日々のなかでクリニカルクエスチョンをもち、解決のための研究を

とは言え、日々の業務に追われて、なかなか研究まで手が回らないという現実もあるでしょう。しかし、それは口実に過ぎません。医師は時間を捻出して実験室で研究に取り組んでいます。私が大学院生のときに研究していた病院には、診療の傍ら動物実験をしていた肝臓移植で有名な医師がいました。外来の合間に肝移植をしたラットの様子を見に来ることもあり、免疫抑制薬の開発などに肝移植ラットを活用していました。その医師は自分の患者さんの治療をよりよくするためにどうしたらよいのか、常にクリニカルクエスチョンをもって研究されていました。私は実験のお手伝いをしながらその様子を見て、「患者さんを治すための治療法は自分たちで作るのだ」という姿勢に触れ、これぞまさしくめざすべき医療人だと思ったことを今でも覚えています。

薬剤師レジデントにも、目の前の患者さんがどのような問題を抱えていて、今の治療方法で解決できるのか・できないのか、解決するための方法(研究)を考えてほしいと思います。

薬剤師の卒後臨床研修制度の確立に向けて

薬剤師の卒後臨床研修を法制化してほしいという思いはあります。医師と同じように、臨床で働く薬剤師に対する最低限の研修プログラムが作られることを願っています。また、アメリカのPharm. D.のように、病院薬剤師として、教育、研究、業務の3つがトライアングルになったプログラムが理想的だと思っています。

薬剤師の卒後臨床研修制度については、現在、名古屋大学医学部附属病院薬剤部長の山田清文先生を中心とした研究班が、ヨーロッパやアメリカなどの制度を調査するなどし、日本の研修制度のあり方や可能性について検討されています。

医学部では、卒業生の9割以上が臨床医になることもあり、優秀な臨床医に育てるための学部教育と臨床研修制度が構築されています。これに対して薬学部では、学生を国家試験に合格させることが中心であり、卒後研修まで見込んだ薬剤師教育を考えている大学は少ないように感じます。国家試験はあくまで通過点です。国家試験の合格率を競っても、本当にいい薬剤師を養成できるでしょうか。よき医療人を育成するための学部から卒後研修までシームレスな教育・研修システムが必要だと思います。

がん治療においてこれからの薬剤師に求められること

急速に変化するがん治療へ対応した研修を

がんは治療方法が急速に変化している分野です。特に、分子標的薬が登場して以来、薬物治療も大きく変化してきました。毎年、大変多くの臨床試験が実施されており、試験結果がASCO(American Society of Clinical Oncology、アメリカ臨床腫瘍学会)やESMO(European Society for Medical Oncology、ヨーロッパ臨床腫瘍学会)などで発表されると世界標準が変わり、診療ガイドラインにも反映されます。

治療法が変化するということは、従来、学んできたことが通用しなくなるという側面もあります。がん薬物療法ではどれだけ正しく監査や調製ができるかが求められるため、今、当院の薬剤師レジデント研修ではレジメン監査に力を入れているのですが、実は3年前に盛んに使われていた抗がん薬が今では使われていないものも多くあります。つまり、3年前に研修した薬剤師が身につけた知識が、新薬の登場によって役に立たなくなる可能性があるのです。そのため、毎年、汎用される上位70%の抗がん薬を調査し、それらのレジメンチェックや調製を経験するための外来化学療法室で必要な研修期間を調査・検討しています。私たちの検討では最低4カ月は必要であるとの結論に至りました。このように、時代のトレンドを意識したプログラムを用意することが、がん領域における研修で難しい点でもあり、工夫すべき点ではないかと考えています。

おわりに

誰からも信頼される薬のプロフェッショナルをめざして

私たちの薬剤部の理念として、「誰からも信頼される薬剤師をめざす」を掲げています。一見すると至って普通に感じるかもしれませんが、一番思い入れがあるのが「誰からも」という文言です。「誰からも」とは、患者さんであり、医師であり、看護師であり、学生であり、一般の方などすべての人々が該当します。「誰からも」のなかには、世界からの信頼も得られるようにとの想いも込められています。これからの薬剤師には、薬のプロフェッショナルとして、日本国内のみならず、世界からも信頼されるような情報を発信していくことが求められていると思うのです。

POINT

  • チーム医療のなかで、薬剤師が薬物療法において専門性を発揮することが求められており、なかでも重要なのは、処方箋の監査とそれに基づく医師への処方提案や、抗がん薬などのハイリスクな医薬品の調製などである。
  • 従来型の教育体制では医療の高度化、専門化という変化に対応できないため、薬剤師が専門性を発揮するには、即戦力となるジェネラリスト薬剤師をできるだけ早く養成する必要があり、薬剤師レジデント制度が求められている。
  • また、個人にとっても専門性をめざすためには短期間でジェネラリストになることが有効であり、薬剤師レジデント制度が必要となる。
  • 薬剤師レジデント制度では、同じプログラムを継続するのではなく、改良を重ね、実際にプログラムを体験したレジデント自身に改善点を考えてもらうことも効果的である。
  • 病院内でもリスクの高いICU、外来化学療法室での研修を早い段階で経験してもらうことで、業務への適応力、リスクの予測能力などを養うことができる。
  • 将来の専門薬剤師取得を見据えた研修を1年目から意識して行い、専門薬剤師によるアドバイスやサポート体制が効果的である。
  • 医療の役に立つフィードバックができて初めて医療人としての覚悟ができると考えられ、研修・実習中は、自分には何ができるかという視点をもって、これを身につけてもらう。
  • 薬物療法の進歩のためには、薬剤師もリサーチマインドを備える必要がある。一次情報を発信できる能力がある限り、薬剤師は医療のなかで必要とされる。
  • 薬剤師もクリニカルクエスチョンをもち、解決のための研究に取り組む必要がある。
  • 法制化などによって薬剤師の卒後臨床研修制度を確立し、医療人を育成するための学部から卒後研修までのシームレスな教育・研修システムが必要である。
  • がん薬物療法に携わる薬剤師の育成にあたっては、急速に変化するがん治療へ対応した研修プログラムを用意し、工夫する必要がある。
  • これからの薬剤師には、世界の誰からも信頼される薬のプロフェッショナルとして情報発信していくことが求められている。
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