公開:2019年3月15日
更新:2024年9月
マンガで学ぶ!がん患者さんとのコミュニケーション
第3回「副作用によりアドヒアランスが低下した患者さん」
企画・監修:東京医科大学病院 薬剤部 東 加奈子 先生
解説
各選択肢のポイント
ア
「アロマターゼ阻害薬が飲めていると聞いて安心した」と伝える
●アロマターゼ阻害薬は内服できているという患者さんの言葉をそのまま受け止めて、関節の痛みはそれほど大きくないと決めつけた。
「プロローグ」及び「ア:『アロマターゼ阻害薬が飲めていると聞いて安心した』と伝える」場合より
イ
「面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、日常生活の中で、問題が起こっていないか心配になった」と伝える
●面談室に入ってくる時から、患者さんの状態を把握し、薬剤師として症状がつらそうにみえることを素直に伝えた。
「プロローグ」及び「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
●患者さんの日常生活に落とし込んで症状のつらさを具体的に聴いた。
「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
●関節痛に対して対応策を複数提示し、患者さんの意志決定支援をおこなった。
「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
コミュニケーションポイント
Cさんは、我慢強い性格のため、医療スタッフにアロマターゼ阻害薬が原因と考えられる関節痛がつらいと言うことができませんでした。このように、医療スタッフの前では、「良い患者」であろうとして、なかなか本心を語れない患者さんもいらっしゃいます。医療スタッフは患者さんの言葉には出ないSOSを素早く察知して、患者さんと共に解決策を模索していきたいですね。
がん化学療法のアドヒアランス
ア
「アロマターゼ阻害薬が飲めていると聞いて安心した」と伝える
●アロマターゼ阻害薬は内服できているという患者さんの言葉をそのまま受け止めて、関節の痛みはそれほど大きくないと決めつけた。
「プロローグ」及び「ア:『アロマターゼ阻害薬が飲めていると聞いて安心した』と伝える」場合より
イ
「面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、日常生活の中で、問題が起こっていないか心配になった」と伝える
●面談室に入ってくる時から、患者さんの状態を把握し、薬剤師として症状がつらそうにみえることを素直に伝えた。
「プロローグ」及び「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
●患者さんの日常生活に落とし込んで症状のつらさを具体的に聴いた。
「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
●関節痛に対して対応策を複数提示し、患者さんの意志決定支援をおこなった。
「イ:『面談室に入ってきたときに、かなり膝をかばって歩いているように見えて、
日常生活の中で、問題が起こってないか心配になった』と伝える」場合より
コミュニケーションポイント
Cさんは、我慢強い性格のため、医療スタッフにアロマターゼ阻害薬が原因と考えられる関節痛がつらいと言うことができませんでした。このように、医療スタッフの前では、「良い患者」であろうとして、なかなか本心を語れない患者さんもいらっしゃいます。医療スタッフは患者さんの言葉には出ないSOSを素早く察知して、患者さんと共に解決策を模索していきたいですね。
近年、がん化学療法の進歩・多様化に伴い、がん治療は入院から外来へと移行が進んできています。経口の抗がん薬治療は、服薬管理を患者さん本人やご家族が行うため、患者さんが治療を十分に理解し、積極的に服薬を継続しようとする姿勢(服薬アドヒアランス)が重要となります。
がん治療の場合、アドヒアランスの低下は、患者さんの全身状態や予後の悪化につながります1)。そのため、がん治療において服薬アドヒアランス率は高いと考えられてきました。しかし、多くの研究で、そのアドヒアランス率は100%ではないことが示されています2)3)。
日常現場では、今回の事例のようにアドヒアランスの低下の原因として、副作用が考えられる場合があります。副作用を評価する場合には、重症度や頻度だけでなく、患者さんを生活者として捉えて、日常生活にどのような支障をきたしているのかを、詳細に聴き取ることが重要となってきます。医療スタッフは、患者さんにとってどのようなことがアドヒアランス低下の原因となるのかを考え、患者さんと共にその解決策を考えて、実践していける意思決定支援者でありたいですね。
1)Marin D et al. J Clin Oncol. 2010; 28(14): 2381-8
2)Partridge AH et al. J Clin Oncol. 2010; 28(14): 2418–22
3)Noens L et al. Blood. 2009; 113(22): 5401-11
※本コンテンツは患者さんとの円滑なコミュニケーションに向けたヒントを提供するものであり、特定の製品や治療法を推奨するものではありません。